【WEEKLY NEWS】個人情報保護法改正 何が問題
個人情報保護法改正 何が問題
病歴提供も同意不要/悪用のリスクも
国会で審議されてきた「個人情報保護法」の改正案に、懸念の声があがっている。AI(人工知能)の開発や統計の作成が目的であれば、個人データの第三者への提供などに本人の同意を不要とする特例が導入されるためだ。
現在の法律では、事業者が個人データを第三者に提供する場合などに、原則として本人の同意取得を義務づけている。改正の背景には、データを集めやすくして、国産AIの開発やビッグデータの利用を進めたい経済界の意向がある。
問題となっているのが、病歴、犯罪歴、思想信条、人種、社会的身分などの「要配慮個人情報」まで同意を不要とする点だ。法案が成立すれば、こうした情報を第三者へ提供されたくない人も断れなくなる可能性がある。
4月に国会で審議が始まると、野党は厳しく追及した。論点の一つは、個人事業主や海外の事業者でも特例の対象となること。悪質な事業者が情報を集め、特殊詐欺などの犯罪に関わる組織に売り払ったり、安全管理の体制が整っていない事業者が漏えいさせたりするリスクがある。悪用や漏えいに対する罰則や、被害者を救済する制度も不十分との指摘がある。
改正案をつくる過程で、多くの消費者団体や医療従事者の団体などから不安の声があった。ただ、この法律を所管する個人情報保護委員会は「統計処理によって個人を特定できない情報になる。問題ない」との姿勢を崩さなかった。野党は「氏名や住所を削除するなど加工してから提供すべきだ」と主張するが、政府側は「提供元の事業者の負担が大きくなる」と応じない。そうして改正案は与党と国民民主党、チームみらいなどの賛成で5月下旬、衆議院で可決。参議院でも7月10日に可決、成立した。
相次ぐ情報漏えい 高校生の関与も
個人情報の漏えいは後を絶たない。個人情報保護委員会は7月7日、2025年度に民間で個人情報の漏えいなどの事案が1万7139件あり、過去2番目の多さだったと発表した。通信大手のKDDIは6日、インターネット接続事業者向けに提供するメールシステムが外部から不正アクセスを受けたことで、約1223万人のメールアドレスが漏えいしたと発表。個人情報保護委員会によると、企業の情報漏えいで、1千万件を超える規模は国内最大級だという。
未成年が関与する実態もある。去年11月に動画配信サービス「バンダイチャンネル」がサイバー攻撃で、約4万6千人分の会員を退会させられる被害を受けた。警視庁は6日、15歳の高校生を偽計業務妨害の疑いで逮捕したと発表。チャットGPTも使い、退会処理のソースコード(設計図)を作ったと供述しているという。
ここに注目! サイバー犯罪少年に立ち直りを
千葉県警察は6月、2025年に不正アクセス禁止法違反の疑いで検挙した人のうち、20歳未満が約6割を占めたと発表。そうした中、県警は全国で初めて、サイバー分野に特化した少年への立ち直り支援を始めた。対象は13歳と15歳の少年で、IT業界で活躍する人からキャリアを学ぶなどした。能力を正しく生かして社会で活躍してもらおうと考えている。