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【Runway 未来へ飛び立つ君たちへ】とうあまひこさん 将棋棋士 ③人生の転機

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佐藤天彦さん 将棋棋士 ③人生の転機

名人は重み感じる一方、自由さも

――2016年に「名人」を獲得しました。
 A級で優勝して名人への挑戦権を獲得したものの、名人戦の前は公式戦で4連敗。それに加え、名人戦という大きな舞台で当然、プレッシャーも感じました。でも、少し視点を変えて、将棋界の最高峰の舞台で羽生(善治)さんと戦えるありがたみをかみしめると、思い切って、楽しく将棋が指せ、それが結果につながりました。

――名人となり、変化はありましたか。
 名人は将棋界を背負う存在で、その重みを感じました。でも、むしろ自由になれたというのが正直なところ。なぜなら、プロ棋士は結果を残してファンの方に将棋を見てもらわなければならないからです。を見てもらえないことが棋士として一番悔しいので、名人となり注目してもらえることに安心感を覚えました。

――翌年には、将棋ソフトとの「電王戦」を戦いました。
 電王戦は2010年から始まりました。17年はすでに棋士がAI(人工知能)に勝てなくなった時期。名人としてAIに敗れるとき、どんな姿を示せば、ファンの方々に納得してもらえるかが大きなテーマでした。さまざまな棋士たちが、人間的な側面を色濃く出せたのが今の将棋の人気にもつながっていると思います。

――現在38歳。将棋界を代表する羽生さん(55歳)と藤井聡太さん(23歳)のはざまの世代です。
 羽生世代の人たちは、常に最善手を求めるのではなく、美意識や情念で将棋を指す面があります。一方、藤井さんや、それよりも下の世代は、子どもの頃から圧倒的なAIという存在があり、合理性を追究している。私たちの世代(広瀬あきひとさんやいとだに哲郎さんたち)は、羽生世代の良さを取り入れつつ、AIも駆使して将棋を指しています。少し寄り道したことが、私たちの世代の良さだと感じます。(聞き手・佐藤克哉)

さとう・あまひこ 1988年生まれ、福岡県出身。日本将棋連盟所属のプロ棋士で段位は九段。2006年にプロになると、16年に当時史上4番目の若さ(28歳)で名人となった。その後、2度防衛してタイトル通算3期獲得。現在もA級棋士として活躍中。